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薬物療法
症状の改善と緩和
統合失調症は、薬を使用することで症状の管理・緩和ができる病気です。適切な薬物治療によって、陽性症状、陰性症状、認知症状などの改善が期待できます。今まで起こっていた恐怖、猜疑心、不眠などの症状が軽減され、日常生活やその他の活動にも集中できるようになる場合があります。また、周囲が異常に気になるような感覚も薄れ、リラックス
できるといった効果も期待できます。
○薬の服用で期待できる効果
①各種症状を軽減する
②患者をリラックスさせる
③物事への集中力を改善する
統合失調症の原因のひとつに、「視覚や聴覚などから入ってくる情報を、脳に伝える脳内化学物質が上手く働かない」というものがあります。薬は、この脳内化学物質のアンバランスな状態を調整する効果があるといわれています。ただし、症状は少しずつ緩和されていきますので、回復兆候が現われるには、数週間~数ヵ月の期間を要します。
また、目に見えて改善してきたということで服用をやめてしまうと、再発してしまう場合もあります。主治医が「薬は必要ない」と判断しない限り服薬を続け、治療を継続することが大事です。
どんなお薬が使われるのですか?
統合失調症治療に用いられる薬は、よく使用されるものだけでも数種類あります。
統合失調症の基本治療薬は「抗精神病薬」ですが、病気に伴うイライラや不安を取り除くときには「抗不安薬」、不眠治療には「睡眠薬」、うつなどの状態を安定させるときには「抗うつ薬」などが処方されます。
「抗精神病薬」は「統合失調症」をはじめ、「非定型精神病」「そう病」「毒性精神病」などの治療に用いられますが、幻覚・妄想を抑えたり、精神興奮を抑えたりするのが目的です。また、神経機能(脳)にも強い作用を及ぼすため、「神経遮断薬」または、鎮静作用が強いことから「メジャー・トランキライザー」とも呼ばれています。
統合失調症は、脳内のドーパミン系のニューロンの過活動により、脳が異常に興奮した状態になり、幻覚や妄想などが起こると考えられています。それらの活動を抑えるのが、この「抗精神病薬」なのです。
○統合失調症治療に用いられる薬
抗精神病薬(大きく3つのタイプに分かれます)
①定型(従来型)抗精神病薬
②持効性抗精神病薬
③非定型抗精神病薬
※その他併発する症状緩和のため、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬などが使用される場合があります。
定型抗精神病薬
神経伝達物質(脳内化学物質)に作用することにより、脳内のバランスを修正する「抗精神病薬(メジャー・トランキライザー)」には、大きく分けて「定型抗精神病薬」「定型抗精神病薬」のうち効果が持続する「持効性抗精神病薬」「非定型抗精神病薬」の3タイプがあります。
「定型抗精神病薬」は、早くから治療に使われている薬で、神経伝達物質のうち、主にドーパミンに関わっています。急性期~陽性症状の脳内ではドーパミン受容体が過剰に増え、働き過ぎの状態にあります。その状態を、薬を使って通常の状態に戻すと、幻覚や妄想、興奮や混乱が治まるというわけです。
ただし、従来の定型抗精神病薬は、陽性症状には高い効果がありましたが、陰性症状(感情鈍麻、集中力・意欲低下、自閉)に対しては殆ど効果がありません。
つまり、定型抗精神病薬は統合失調症の急性期および陽性症状には効果が期待できますが、陰性症状の場合には、他の薬を使わなくてはならないと言うことです。
それを補う形で、現在は「非定型抗精神病薬」が開発されました。この薬は、陰性症状に対する一定の効果が確認されています。
次に、この「非定型抗精神病薬」を説明します。
非定型抗精神病薬
近年、新しい薬として使用が認められた「非定型抗精神病薬」の大きな特徴は、陽性症状に効果があるだけでなく、従来、「定型抗精神病薬」では効きにくいとされていた陰性症状の緩和にも効果が期待できるということです。
この薬は、従来の抗精神病薬(定型抗精神病薬)とは区別されており、さらに「再発予防効果が高い」「副作用が弱い」といったメリットも報告されています。
非定型抗精神病薬は、主に神経伝達物質のドーパミンのみならず、セロトニンにも作用します。このセロトニンへの作用が、副作用を軽減したり、陰性症状にも効果をもたらすといわれています。
また、SDA(非定型抗精神病薬の一種)では、定型抗精神病薬では懸念されている副作用抗コリン症状(口が渇く、のどが渇く、便秘、目がかすむ他)や、抗ヒスタミン症状(眠気、だるさ、体重増加他)が少なく、患者に負担がかからないという利点があります。
なお、非定型抗精神病薬には、「ゾテピン(SDA)」、「リスペリドン(SDA)」、「塩酸ペロスピロン(SDA)」、「フマル酸クエチアピン(SDA)」、「オランザピン(SDA)」などがあります。
特効性抗精神病薬
「持効性抗精神病薬」というのは、その名称の通り、効果が長期間持続する抗精神病薬です。定型抗精神病薬の効果が持続するように改良された注射薬で、一回の投与で約2~4週間程度、効果が持続するとされています。
定型抗精神病薬の改良型だけに、持効性抗精神病薬は陽性症状に有効ではありますが、陰性症状には十分な効果がみられないようです。
ここまでで説明した「定型抗精神病薬」「非定型抗精神病薬」「持効性抗精神病薬」は、患者の病状によって使い分けられます。
服用に対して気をつけたいのが、薬の飲み忘れです。
どんな病気……例えば身近な風邪などでもそうですが、ちょっと具合がよくなったり、顕著な症状が緩和されたりすると、薬を飲み忘れてしまうことがあります。
そのまま回復すればいいのですが、統合失調症の場合、長く飲み忘れて過ごしてしまうと、症状再燃の危険性がでてきます。正しい量、決められた服用時間を守るように心がけましょう。
薬の副作用について
「抗精神病薬」は、統合失調症の治療には欠かせませんが、一方で副作用を起こす可能性もあります。
しかし近年、副作用が少ない「非定型抗精神病薬」が、数多く開発されています。加えて、医師から指示された用量・用法を遵守して薬を飲む場合は、副作用が大きな問題となることはあまりありません。
だからこそ、薬物療法で治療効果を期待したいのであれば、医師の指示に従うことが大切だといえます。
副作用の代表的な症状としては、「錐体外路症状」が知られており、「筋肉の硬直」「震え」「体重増加」「動作不穏」「喉が渇く」「目のかすみ」などがあり、以下のようなものが含まれます。
①抗ヒスタミン症状:「眠気」「体重増加」などの症状。
②自律神経症状:「口が渇く」「唾液が多くなる」などの症状。
③パーキソニズム:「運動能力の減退」などが起こる。
④アカシジア:じっとしていられないなどの症状を発症。
⑤ジストニア:「眼球上転」「舌の突き出し」といった症状が見られる。
⑥発性ジスキネジア:「口を無意識にもぐもぐさせる」といった症状。
⑦悪性症候群:「高熱」「発汗」「身体硬直」ほかの症状。
またその他の症状として「生理不順」「性欲減退」「立ちくらみ」
などが報告されています。
以降、これらの症状について詳しくお話します。
