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発症までの経過

統合失調症になったあとの経過は、ひとことで言うと千差万別、人によってさまざまです。これだけ違う経過をたどる病気は、ほとんどないと言っても過言ではありません。専門医であっても予測が難しい疾病ではありますが、最初の症状~前駆症状は、治療を施すことによって治まることが多いといわれています。

ただし、そのまま回復するか、次の経過をたどるかは、なかなか予見できません。発症に気付かずそのまま進んだ場合、どのような症状が現れるのかをお話したいと思います。

統合失調症の経過は「前駆期」「急性期」「消耗期」「回復期」の4つに分けられます。

簡単に説明すると下記の通りです。

前駆期:一般的には、不眠などの身体的不調や漠然とした不安や、集中困難などといったもので、はじめは本人も家族も精神症状とは思わず、内科などを受診することもあります。

急性期:病気の勢いが止まらなければ、幻聴・妄想などの「陽性症状」を中心とした急性期に入ります。

消耗期:陽性症状の症状が治まると、心身とも疲れ切ってしまうことが多く、「陰性症状」を中心とした、活動が鈍くなる消耗期に入ります。

回復期:回復期は、消耗期を経て、社会との関わりを持とうとする気持ちが出てくる時期です。回復の度合いはさまざまで、おおよそ回復のペースはゆっくりですが、それに伴い、少しずつやれることが広がっていきます。

経過にはもちろん個人差がありますので、勝手な判断をせず、医師の指導を受けながら、正しい治療を受けることが大事です。

前駆期とは

身体の病気であっても、本格的に発症する以前に、さまざまないろいろな前駆症状が出ることがありますが、統合失調症も同じです。前駆期に見られる症状としては、仕事や勉強で壁にぶつかっている感じがしたり、行き詰まり感に悩まされたりします。加えて「眠れない」などといった体調不調や考えがまとまらないといった状態が続き、「このままでは駄目になってしまう」という強い焦燥感(しょうそうかん)に襲われます。

被害妄想さらに、そういう自分に嫌気が差し、自信が持てなくなり落ち込んだ気持ちになります。そうなると、周囲の人たちが悪口を言ったり、馬鹿にしているような気がするなど、だんだんと被害妄想のような感覚に陥ってしまうのです。

そんな状態を打破しようと考えても、頭の中は空回り。逆に、対人関係や社会生活が辛くなってしまい、引きこもって、人を避けようとします。

早いうちにストレスを減らす、早期発見、早期治療を行うほど回復は良好となり、前駆症状の段階で治まることもありますが、病気の勢いが止まらなければ、急性期の状況に移行していってしまいます。

前駆期の症状は、再発の前にも現われることがあるので、これを知っておくことは再発予防に役立ちます。

急性期とは

前駆期にしっかりとした治療を受けなかった場合は、急性期の症状が現われ始めます。前駆期同様、睡眠障害、身体的不調などが起こりますが、猜疑心(さいぎしん)が強くなる、幻覚・妄想が生じるなど、まわりから見ても「何かおかしい」と思われるような言動が多く見られるようになります。

特に幻覚・妄想がひどくなり、普通の人なら何でもないと思うことが、何か特別の意味を持っているように感じてしまう、周りの風景や人の話し声が、自分に暗示を送っているように思えてくるのです。それらの暗示は、自分の劣等感や弱みをついてきます。

この時期は「陽性症状」が中心なので、症状の程度も強くなり、さらに不安・恐怖・焦燥感が生じます。そのため他者とのコミュニケーションが取れなくなり、幻覚妄想などのために判断力も著しく低下します。また睡眠のリズムが乱れ、昼夜逆転が起こり、人によっては食欲がなくなり、ひどく痩せてしまうこともあります。強迫観念や被害妄想が強くなると、学校や会社も休みがちになり、自室に引きこもってしまうことも少なくありません。

前駆期の期間は、自分も周囲もなかなか病気に気がつかず、また気付いても自分の病気を認めようとしないことが多いのですが、急性期の段階になると、外来受診を受けたり、入院する人も出てきます。本格的な治療は、症状がはっきりと現われる急性期から始まることが多いようです。

消耗期とは

「世界が破滅する」「誰かが自分を見張っている」といった妄想や、「自分を操ろうとする声が聞こえる」などの幻聴ほか、陽性症状特有の症状は、患者の心身を大いに疲れさせます。するとエネルギーも落ち、患者の活動も鈍くなります。この時期は、消耗期と呼ばれており、幻覚や妄想は少しずつ治まり、頭の中の混乱も落ち着いてきます。

ただし、急性期の激しい時期を過ごしたわけですから、とても疲れやすく、根気が続かない、集中力がなくなるといった症状をはじめ、「感情鈍磨」「引きこもり」「気分の落ち込み」ほか「陰性症状」のような症状が現われることも少なくありません。また家族や友人に甘えたり、受け身的になる人もいます。

この時期は、回復期へとつながっていくための大切な時期です。とはいえ脳内では、まだまだ不安定な状態が続いているので、少しの刺激で急性期状態に逆戻りしやすいため、特に注意が必要になります。

医師の専門治療も大切ですが、よく眠ること、規則正しい生活を送ることで、回復へのエネルギーを蓄えることができます。それには、家族が落ち着いて接することがポイントとなります。「早く治って欲しい」という気持ちはわかりますが、あせりは禁物です。

回復期とは

回復期に入ると、少しずつ安らぎを感じられるようになります。同時にテレビを見たり、本を読んだり、家の手伝いをしたりと、やれることも増えてきます。友達に電話してみたり、散歩や買物をしたり、自分の好きなことから行動範囲が広がっていきます。

さらに会話も増えていき、患者もゆとりを感じるようになってきます。しかし活動はあくまで自分の興味のあることが中心で、「やらなければいけないこと」「興味のないこと」といったことは後回しになるようです。

回復期の安らぎこの時期は、回復が目に見えてきますので、どうしても早く社会復帰したいと考えてしまいますが、あせって行動を起こすと、思わぬ疲れがでてしまいます。以前はできていた、日常の何気ない行動でも、改めて始めようとするとも緊張したり、不安になったりするものです。すべてを完璧にこなそうとするのではなく、「失敗してもいいじゃないか」「ちょっとトライしてみる」くらいの気持ちで始めてみることが大切です。

回復期の過ごし方で、病気の進行は変わります。時間をかけて完全な回復に向かうこともあれば、障害を残してしまう場合もあります。やれることをあせらず少しずつ増やしていくことが、回復を順調にする鍵になります。