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回復には、家族の協力が不可欠

統合失調症の治療・回復には、家族の理解と協力が必要です。しかし家族の誰かが、この病気にかかってしまった場合、最初は動揺したり混乱することもあるかと思います。

まず、何よりも大切なことは、病気に対して家族が偏見を持たないということ。「近所に知られたら恥ずかしい」「治るまで隠しておこう」とすることは、患者に多大なプレッシャーを与えてしまうからです。

自分を責めるまた、「こんなことになったのは私のせい」と自分を責めたり、「もう一生治らないのではないか」と将来を悲観するようなことも、患者に不安を与え、ますます萎縮してしまいますので、絶対に避けましょう。

とはいえ、回復までには、長い時間がかかる場合もあります。そんな時は、愚痴や不満がでてしまうこともあるかと思います。

一番気をつけたいのは、表情、口調、態度などにおいて、家族が「感情的」になってしまうことです。特に注意すべき点は、以下の3点になります。

①批判的になる⇒「仕事もせずに、毎日家でごろごろしている」「怠け者としかいえない」など、患者に不満や文句をいう。

②敵意を持つ⇒「この子が生まれなければ」「この人のせいで家族が不幸になった」などの敵対的な言葉を言う。

③過干渉・過保護⇒「この子には私がついていないと」といい、過保護や過干渉になってしまう。情緒不安定な状態で、すぐ泣いたり、冷静さを失う。

不信感を抱かせないよう気をつけてください

統合失調症の顕著な症状のひとつに、「妄想や幻聴による他人への不信感」があります。時に不信感は、家族に向けられることもありますので、まず「家族は患者の味方である」という態度を見せてあげることが必要です。

それには、患者の話をよく聞いてあげることです。急性期には幻聴や妄想がひどくなります。荒唐無稽でつじつまが合わない話をよくしますが、「何をバカなことを」といった反応を出さないように注意し、じっくりと耳を傾け、患者が何を伝えたいのか、理解するよう努めましょう。

また患者は、体験したことのないような不安感に陥っています。

「昨日まで、できていたことができない」「イライラが抑えられない」「わけのわからない声が聞こえる」といった、「何も自分の思うようにならない」状況の中で、自信を失ってしまいがちです。

「もう二度と治らない」と自暴自棄になると、自らの命を絶とうとすることもありますので、「この病気は、時間はかかるけど、きちんと治療を続けていれば、かなり良好な状態にまで回復する」「病気と上手く折り合いをつけて、社会復帰した人もいる」ということをわかりやすく説明して、希望を持たせてあげることが、最悪のパターンを回避することになります。

過剰な期待、性急な回復を望むのは逆効果とはいえ、あまり後ろ向きになるのも危険です。患者も家族もゆっくり焦らず、病気につき合っていくという姿勢が必要です。

病院に行きたがらない

統合失調症患者を抱える家族の悩みの最たるものに、「患者が病院に行きたがらない」というものがあります。

薬をきちんと飲むことはもちろん、きちんと通院して、専門医の診察を受けないと、症状はなかなか改善されません。

では何故、患者は病院を嫌がるのでしょう?

その理由のひとつが、「自分が病気であるという自覚がない」ということ。この病気にかかると、相手と比較対照し、自分を客観的に見ることが難しくなります。「自分の言うことは正しい。それなのにみんなはわかってくれない」という意識が強くなってしまうために、
病気である自分をきちんと捉えられなくなるわけです。

そこに、幻聴・妄想が加わることで、例えば「自分は病気じゃないのに、家族は無理やり医者に連れて行こうとしている」「病院に行くのは嘘だ。何かたくらんでいるに違いない」と、家族が良かれとすすめているにもかかわらず、悪意や陰謀に感じてしまうのです。

このような場合、すぐにかかりつけの病院や主治医に相談して、今後の対応を話し合うことが大切です。医師の方でも、薬の量を増やすなど、患者の状態に合った処置やアドバイスをしてくれます。

騙したり、脅したりして、無理やり病院に連れて行くことは避けてください。家族への信頼感を喪失してしまうと、回復への障害になります。患者のためにやむをえなく嘘をついて病院へ連れて行くなどした時には、症状が落ち着いた後で、そのことを患者に謝ったほうがいいでしょう。

自発的な通院が大切です

通院はするものの、症状がなかなか改善されなかったり(統合失調症は治療に時間がかか ります)、強制的に行かされているような感じにとらわれると、だんだん病院が嫌になってくることがあります。

また、過去に病院や入院治療でトラウマを作ってしまったことがある患者だと、余計このような状況に陥ってしまいがちです。

その結果、だんだんと足が遠のいて、通院拒否といった状況を生じてしまいかねません。さらに家族や社会から孤立してしまい、病気を長期化させたりする可能性もあります。

患者に定期的な通院をうながすためには、受診の必要性に関して、一貫した態度をとり、根気良く落ち着いて、優しく説得することが必要です。

説得の際に大事なことは、「家族や周囲が困っている」からではなく、「患者の不安や不調を治すためである」ということに重点を置くことです。

自発的な通院「ちゃんと眠れるように病院へ行こう」「イライラや不快な症状を治すために通院しましょう」など、病院へ行くのは「自分の病気を治すため」だという意識を持てるような説得することが大事です。

基本的には、患者本人が自分の意思で病院へ行くことがベストです。自主的な受診ができるよう、努力をしていきましょう。

入院したほうがいい場合

「統合失調症」が「精神分裂症」と呼ばれていた頃は、入院が必要で、患者を家族や社会から隔離して治療する方が効果的だというイメージが強かったかと思います。

しかし、治療法の進歩によって、近年はなるべく入院せず、外来で治療をするのが主流になっています。「統合失調症の治療は入院しなければならない」ということはありません。

ただし、どうしても入院が必要な場合もあります。

それは、うつやそう状態、幻覚、妄想、興奮、混迷どの症状が強く、患者自身が、そのような行動を抑えられず、家族や周囲に迷惑をかけてしまうような時です。

かつては主治医やスタッフが、睡眠薬の注射を打って……ということもあったようですが、現在はそのようなことはありません。

とはいえ、症状がさらにひどくなり、薬だけではどうにもならない。もう家族も周囲も限界……といった状況に陥ってしまったときは、精神科の制度「強制入院」が行使されることがあります。

これはあくまで最後の手段です。

入院を躊躇っていたら、治療のタイミングを逸してしまう、患者が突飛な行動(自殺など)に出る可能性があるといった時には、なるべく早く専門医に相談しましょう。外来で治療中、症状が急変した場合は、主治医やスタッフと共に速やかな対応をとることが必要です。

いつになったら退院できるんでしょう?

統合失調症の難しいところは、回復にむかっているのか、そうでないか、はっきりと目に見える形でとらえられないところです。

例えば「幻覚」や「妄想」が治まったとしても、それは表面的なものに過ぎず、根本的な症状が改善されたかどうかは、患者や家族、主治医にも判断し難い。そのため症状が緩和されてくると、患者や家族は「良くなってきている」と判断しがちです。それに伴い「もう退院してもいいのではないか」と考えることも少なくありません。

しかし、主治医は「もう少し様子をみたい。退院は、ちょっと待ってて欲しい」と感じていることはよくあります。

患者、家族、主治医が同じ方向性を向き、上手くコミュニケーションがとれている場合はいいのですが、上記のような場合だと、患者や家族は「治っているのに、先生は何故退院させてくれないのだろう?」と、不信感を感じることがあります。

特に、普段から主治医への信用が薄い場合には、家族と患者の関係が悪化したり、家族が勝手に患者を連れて帰ってしまい、治療が中断したりすることもあります。

退院に関しては、きちんと話し合うことが大切です。どうしても納得いかない場合は、公共機関などに相談する、セカンドオピニオンを検討するなど、感情的にならず、第三者の意見を取り入れてみるのもいいでしょう。